メキシコのネット世論操作問題に必要なものは「壁」? いや、「対策」だ!
2019.03.11
西側諸国から関心が薄く、トランプ政権による「国境の壁」や「NAFTA交渉」でアメリカとの関係が悪化しているメキシコは、ロシアや中国、イランなどからの干渉が取りざたされており、ロシア、イラン、シリアがラテンアメリカでネット世論操作も行っていることが指摘されている。フェイスブックとWhatsAppユーザが世界有数のメキシコでは、プライバシー保護や政治利用規制の甘さを利用したフェイクニュースの流布が増えている。
SNSが政治的なツールとして広く利用されるメキシコでは、政治家が選挙のために使用するためフェイクニュースがあふれている。さらには、SNSで「いいね!」やリツイートなどの拡散を行う集団が多く存在し、それが産業化さえしており、ボットやトロールに煽られた人々がジャーナリストに嫌がらせを行うなどの行為も蔓延している。
これらネット世論操作産業の拡大に対し、フェイスブックはチェッカーを増員し、フランス通信社やメキシコのファクトチェック組織と共同で、拡散集団の資金源を断ち、活動停止に追い込もうとしている。90以上のメキシコのメディアによるフェイクニュース対策のためのNGO・Verificadoは2017年の選挙のために、イギリスのAIを利用したネット監視システム「Krzana」を利用してフェイクニュースの自動検知を行った。事前にフェイクニュースの学習を行っていた「Krzana」は、高速にフェイクニュースを峻別することができたが、最終判断は人間が下していた。また、メディア側がネット世論操作対策のために大規模なAIシステムを利用したのはこのケースだけだった…。
(ハーバービジネスオンライ『ネット世論操作の最先端実験場メキシコ。メディアとジャーナリズムは対抗』2019.03.09)
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